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2025.11.26

  • 技術コラム

リバースエンジニアリング Vol.3:生産ライン停止を最短で復旧!折損シャフトの再生加工(短納期事例)

折れたシャフトを“2日で復旧” ― 現場を止めない応急再生加工の実例

生産ラインの稼働中、突然シャフトが折れてラインが停止する──
現場では決して珍しくないトラブルですが、復旧までの時間が長引くほど生産に大きな影響が出ます。

しかし実際には、設備メーカーへ修理や部品製作を依頼すると、数週間〜数ヶ月待ちになることも珍しくありません。
この「待てない」「今日にも動かしたい」という切羽詰まった状況こそ、タカタ精密が力を発揮できる場面です。

発生したトラブル:生産中にシャフトが突然折損

今回のご相談は、ライン稼働中にシャフトが突然折れてしまい、装置全体がストップしてしまったケース。
折れたシャフトは生産工程の重要な回転部であり、「すぐに動かしたい」という強いご要望がありました。

支給された折損シャフトは下記の状態でした。

📌 両端が完全に折れて分離状態
📌 精度を保ったままの接合が必要

応急とはいえ、いい加減な修理では“数時間で再び折れる”可能性もあります。
現場を止めないためには、強度を確保した応急再生加工が必須でした。

迅速復旧のために取った方法

ねじれ荷重に弱い外周溶接。だからこそ“芯材を入れて補強する”判断を実施。

折損したシャフトを接合する際、
一見すると 外周を溶接すればつながる ように思われがちです。

しかし今回のシャフトは、装置の構造上 強いねじれ(トルク)を受け続ける部品 でした。
そのため、外周溶接だけでは十分なねじり強度が得られず、
「再び同じ部分から折れる」可能性が高いと判断しました。

これは、タカタ精密がこれまで多くの修理・再生加工の中で得てきた経験則でもあります。

そこで今回は——
折れたシャフトの内部に“焼き入れシャフト”を芯材として挿入し、ねじり強度を大きく高める補強構造 を採用しました。

採用した応急接合方法

  1. 折損両端に座グリ(深穴)加工
     → 芯材を確実に保持できる深さと精度を確保

  2. 高硬度の焼き入れシャフトを内部に挿入
     → トルク荷重に耐える“中芯”として機能

  3. ねじ止めで軸芯を固定し、溶接よりも強い接合に(ネジ止めにも一工夫しています)
     → ねじれ方向の応力を受けてもズレや再折損が起きにくい構造

この工法により、外周溶接だけでは得られない 高い耐ねじり強度 を確保し、
「応急的だが現場で十分使える強度」を実現しました。

 超短納期:2日で稼働復旧

今回も緊急案件としてすぐに対応し、
支給からわずか“2日後”には現場で使える状態に復旧。

設備メーカーでは数週間〜数ヶ月かかるケースもあるため、
「すぐにラインが動いた」と非常に喜ばれました。

まとめ ― 技術判断と経験から成り立つ応急再生加工

今回の事例は、
単に折れたシャフトをつなぐだけでなく、
“どうすれば再び折れずに使えるのか” を考え抜いた技術判断がポイントでした。

  • 溶接だけではねじれに耐えない

  • 芯材を入れることで内部から補強できる

  • 現物解析〜再生加工まで一貫対応

  • 圧倒的な短納期でライン停止時間を最小化

タカタ精密では、
“現場で本当に使える応急復旧” を追求し続けています。

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